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前立腺がんはPSA検査による早期発見が可能です。生検・トモセラピー・ホルモン療法など

   

副作用と放射線性直腸炎

放射線性直腸炎の発症と経過

放射線療法である外部照射の副作用は正直のところあまり気にしていなかった。トモセラピーによる外部照射は10分か15分程度で終わり痛くも痒くもない楽な治療法だ。ただ確実に放射線の影響が効いてきているのだろう。トモセラピーによる外部照射療法が終わりに近づくにつれ頻尿が気になった。しかし、トイレの回数が多くなることぐらいそれほどのことでもない。40回の外部照射療法が終り3か月くらいは肛門痛で辛かったが処方された軟膏を塗りなんとか乗り切る。3か月が経過し痛みが治まったと喜んでいたら今度は下血が始まった。始めの3ヶ月(外部照射終了後3〜6ヶ月)ほどは便器の中がピンク色に染まる程度であった。その後下血は日を追うごとに次第に多くなり時には便器の中が真っ赤に染まる様になった。流石にこれを見ると血の気が引くように感じて、これはただ事でないと思った。

放射線性直腸炎と内視鏡検査
私の場合、下血があると言っても痛みがあるわけではない。気分が悪いということもなく食欲も普通にある。ただ排便時に鮮紅色の下血があるのだ。外部照射終了9か月後、それは血液検査結果にも現れた。「赤血球数」「血色素量(ヘモグロビン Hb)」「ヘマトリック値」が軒並み下り貧血の症状が現れた。朝晩ウォーキングをするのだが、歩く時になんとなくふらつき感がある。意識しないと真っすぐ歩けない。体力もかなり落ちてきているように感じる。男(お床)を揚げる布団の上げ下ろしにも息が切れるようになる。そして妻からは「最近顔色が悪いよ!(顔色が黄色っぽい)」などと言われる。このような状態ではハイキングや山歩きをするには不安があり控えるようになってきていた。

3ヶ月ごとにS病院での血液検査と北里大学病院での診察がある。その時に下血があることを話すがいずれも重大事ととらえていないらしく具体的な指示はなかった。放射線治療から9か月目に北里大学病院放射線科と泌尿器科の主治医に再度下血がひどく貧血状態にあることを話す。両医師からはS病院での内視鏡検査をするように勧められた。放射線科の担当医に聞くと下血が出る人の割合は10%程度らしい。残念ながら自分はその10%の中の一人なのだと思った。下血を抑える薬を処方して欲しい、と頼む。と、先生は内視鏡検査をしてからでないと出せない、という。そして3ヶ月後にS病院泌尿器科の主治医にそのことを話す。先生は「それでは、すぐ内視鏡の手配しましょう」といって消化器内科へ回してもらう。消化器内科では最初に看護師の聞き取りがあり、血液検査の結果が出てから若い女性医師の診察を受ける。そして次週に大腸内視鏡検査を受けることになった。そしてとりあえずは胃酸を抑え便通を良くする薬(マグミット錠250mg)を処方してもらい服用することにした。

大腸内視鏡検査は15分から20分程度であったと思う。そして即入院となった。入院ということはポリープがあったのだなと思った。事前の内視鏡検査同意書では「ポリープがあり切除した場合は即日入院となります」という項目があった。そして入院は2泊なのだという。夜になり内視鏡検査をしてくれた先生の説明を受ける。下血の原因は放射線性直腸炎で炎症を起こしている部分は入口(肛門)から近い部分にありそこからじわりと出血するのだそうだ。画像を見ると確かに正常な部分に比べ赤い部分が多く炎症を起こしていることが分かった。ただ画像を見た印象からはそれほどひどい症状には見えずある程度時間をかければ良くなるのではないかと思った。先生に止血する方法がないか聞いたが「ない」という答えだった。今回の検査は下血の原因を調べることにあったが、大腸ポリープが3個所ありそれも切除してもらった。方法は3個所ともポリープの基部にクリップを掛けて止血を施しポリープ部分に液体を注入して大きくしてから切除するのだそうだ。ポリープの大きさは5ミリ程度が2個所、1センチ程度が1個所でした。まれに切除した部分から出血することがありポリープが少し大きかったので2泊での入院絶食となりました。3日目の朝、特に問題がなかったのでお粥の朝食がでた。そして点滴を外してもらい退院となった。今日、平成29年11月10日は奇しくも1年前の放射線治療が終わった日である。あれから早や1年が経過したのだ!

放射線性直腸炎(放射線腸炎)とは
前立腺がんや子宮がん、などの放射線治療(外照射治療、外部照射治療)を受ける際に、放射線の通過経路に直腸があるために腸炎を発症します。照射される放射線量が60グレイを超えると発症率が上昇すると言われています。
放射線性直腸炎には発症時期により早期障害と晩期障害があります。早期障害は治療開始の1〜2週間後から発症します。主な症状は頻便、下痢、下血などで一過性で治療終了後の2〜3週間で消失するようです。発症率は70%程度とみられます。
晩期障害は放射線治療終了後の1年〜2年後以降、まれに数年から10年以上経過後に発症します。主な症状は下血、しぶり腹、大量出血などです。発症率は20%程度とみられます。放射線性直腸炎の発症を予防するには、適切な治療方法で放射線療法を受けることです。しかし放射線は正常な細胞にも多少のダメージを与えてしまうため、実際にはさまざまな後遺症や副作用が起こる可能性があります。

私の場合は放射線治療後から3か月間は肛門痛がありました。今から考えるとこれは痔ではなく、放射線性直腸炎の初期症状だったのだと思います。その後肛門痛はなくなり放射線治療後3か月以降、現在に至るまで下血があります。下血の量はその日によって違います。◎ほとんど出ない場合、◎便器がピンク色になる場合、◎真っ赤になる場合、があります。もちろん、便器に座っている時間が長くなるほど下血は多くなります。

放射線性直腸炎やその他の副作用を恐れて、放射線治療を行わないことは、がん患者にとって選択肢を狭めることになります。また、中途半端に放射線治療を行い後でがんが再発した場合は正に本末転倒ともいえます。がん治療の場合、どのような治療法をとってもある程度のリスクは避けられません。放射線療法で放射線性直腸炎を発症した場合、適当な方法で症状を緩和させることはある程度可能です。

放射線性直腸炎の治療法
これといった有効な治療法がないのがこの病気の難しい点です。症状が軽い場合は炎症を鎮める薬などを処方してもらい、自然と治るのを待ちます。下血に対する治療法としては、便通をよくする薬を服用したり、ステロイドの座薬を直腸内に注入します。症状が軽い場合はあまり深刻に考えず貧血程度で済んだと思えば、気も楽になるのではないかと思います。
また有効で安全な治療法としては内視鏡的アルゴンプラズマ凝固療法(APC)があります。APCは、内視鏡的にアルゴンガスを用い、高周波電源を利用して直腸粘膜に新生した毛細血管を焼灼(しょうしゃく)して止血する治療法です。
高気圧酸素治療(HBO)では、高気圧環境下で酸素を吸入することにより大量に溶け込んだ酸素が血流の少なくなった組織に供給されます。これを何十回も続けることにより長期的な効果により新しい血管が出来てくるようになります。炎症は修復され拡張した毛細血管は正常化して、直腸の表面の粘膜がきれいになってくるという治療法です。

小線源療法か外部照射量か?
前立腺癌が早期に発見された場合、根治的治療としての放射線療法があります。この放射線療法では小線源療法(高線量率密封小線源療法)とIMRT(強度変調定位放射線療法)による外部照射療法があります。小線源療法は、放射線を発する小さな線源を前立腺に埋め込み、前立腺の内部から放射線を照射する治療法です。外部照射療法は、前立腺に合わせて形や強度を調節した放射線を体の周囲から照射し、前立腺に放射線を集中させる治療法です。
治療成績はほぼ同じなので、ご自分の症状や置かれている環境によって、小線源療法か外部照射療法を選ぶことになります。副作用は小線源療法と外部照射療法では大きな違いはないようです。小線源療法の副作用が治療後1〜3カ月をピークに集中して起こるのに対し、IMRTでは副作用のピークは低いのですが、1〜2カ月にわたって現れる傾向があります。

小線源療法ではベッド上で3日間の安静とIMRTを用いた外部照射を2週間10回併用します。外部照射療法の治療期間は1週間に5日、合計7〜8週間の長い通院が必要です。仕事やがんのレベル、副作用などを主治医の説明をうけて総合的に判断することになります。いずれにしても最終的に決めるのは患者であるあなた自身です。

私の場合は3日間ベットで身動きできない小線源療法は止めました。仕事は自由でしたので通院回数は多くても苦痛度の少ない方を選んだのです。結果としては放射線性直腸炎を発症しました。しかし小線源療法で放射線性直腸炎は出ないという保証はないので、これが良かったか悪かったかは判断がつきません。

平成29年11月15日の診察 
北里大学病院へ通院し泌尿器科で主治医の診察を受ける。今日は珍しく受診待ちの人が非常に少ない。いつもは2時間3時間待ちは当たり前なのだが、予約時間内に順番がきたのは初めてのことだ。早速、主治医にS病院で内視鏡検査を受けたことを報告する。先生は「それは良かったですね」と言う。下血の原因を調べるために内視鏡検査を受けたことが良かったということである。次回の診察は半年後になり、先生の事情により診察は今回が最後である。初診より2年近く、長い間大変お世話になりました。

放射線科では担当の先生から例によって下腹部の触診を受ける。その方法は下腹部分を両手で触って異常がないかを判断するものである。先生は触診しながら「はい、いいですよ。お変わりありませんか」と質問される。そこでS病院で内視鏡検査を受けて放射線性直腸炎だった旨を報告する。と、先生は「それは良かったですね」という。何故よかったかというと内視鏡検査を受けたことが良かったという意味なのである。これは泌尿器科の主治医と期せずして同じであった。そして下血(放射線性直腸炎による)は「ほっぽっておきましょう」という。先生の楽観的な言葉に思わず苦笑する。私が「消化器内科で便通をよくする薬を処方してもらっています。」というと「その位でいいですよ。あとはほっぽっておきましょう」という。「軟膏とかとの薬はないんですか?」と聞くと「痛ければね。」との答え。私が「痛くはないんです」と言うと。「それじゃ。ほっぽっておきましょう。」との返事だった。放射線性直腸炎による下血はいずれ治るでしょう、という意味なのだろうと感じた。
放射線治療後1年を経過し次回からは半年後の診察になる。

平成29年11月22日消化器内科の診察 
11月8日〜10日での大腸内視鏡検査が終わり、今日はその検査結果が示される。最初に採血を行い検査結果が出てから診察を受ける。それほど待たされるほどもなく診察室に呼び出される。パソコンで内視鏡検査の画像を見せられる。放射線治療による直腸炎で出血している部分。3か所のポリープの画像。そして大きい方のポリープにはガンが見つかったということである。なので今後は1年に1回は内視鏡検査をした方がいいでしょうとのことである。更に血液検査の結果で血色素量(ヘモグロビン Hb)が7.2(基準値13.5〜17.6g/dl)であり貧血の状態である。このため鉄剤と胃酸を抑え便通を良くする薬を処方してもらった。

平成29年12月20日消化器内科の診察と貧血
血液検査の結果は血色素量(ヘモグロビン Hb)が12.0までに改善しました。
胃酸を抑え便通を良くする薬(マグミット錠250mg)はなかなかいい薬だと思いました。あまり抵抗がなく便通がありトイレの時間が短くなります。そのため出血が少なくなりました。ほとんど下血がない場合と、かすかに下血が有る場合と半々くらいで、前のように大量の下血がなくなりました。そのため貧血の症状は次第に改善されました。

貧血(ひんけつ)とは血液が薄くなった状態です。一般にはヘモグロビン濃度が基準値を下回った場合に貧血とされます。症状としては、めまい、立ちくらみ、耳鳴り、動悸、息切れ、疲れ、倦怠感、食欲不振、顔が黄色っぽくなる、爪の異常、爪が白っぽくなる、体の各部が蒼白になる、などです。
私の場合は、歩くとふらふらする、動悸、坂や階段の登りがきつい、顔が黄色っぽくなる、などです。
私の場合は血色素量(ヘモグロビン Hb)が
放射線治療前 13.4〜15.6(平成28年1月〜平成28年8月)
放射線治療後 12.1〜14.5 (平成28年11月〜平成29年8月)でしたが、
放射線治療3か月後から下血が始まり9か月後に下血がひどくなり、
平成29年11月22日には血色素量が7.2まで落ちました。
その後、便通をよくする薬や鉄剤を処方してもらい下血が少なくなり貧血も改善されました。貧血が改善したらふらふら感がなくなり顔色が良くなりました。もう一つ下血が少なくなった理由としては次の二つも考えられます。(私なりの推測です)

  1. 大腸内視鏡検査後の入院中は丸二日間絶食したこと。入院中は栄養補給の点滴と水以外は摂りませんでした。
  2. 検査前後の10日間はアルコール類を一切取りませんでした。
平成30年2月28日消化器内科の診察
血液検査の結果は血色素量(ヘモグロビン Hb)が14.0までに改善しました。そのため鉄剤(クエン酸第一鉄Na錠50mg」は今まで1日4錠を2錠の半分に減らします。マグミット錠の服用はそのまま継続します。

平成30年4月25日消化器内科の診察
血液検査の結果は血色素量(ヘモグロビン Hb)が13.2と基準値(13.5〜17.6)を下回った。そのため鉄剤(クエン酸第一鉄Na錠50mg」は1日1錠を継続する。マグミット錠の服用もそのまま継続する。

     



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